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脳みそくんを呼んで、お医者さんは言いました。

「きみの体の中の者たちは弱っているよ。病気になりかけている者もいるよ。レントゲン写真やカメラで中の様子を見せましょう。

 肺くんや、気管支くん、それに胃袋くん、腸くんなどの様子を見てごらん。みんな黒くなったり、元気がないだろう。この黒いのは、タールというもので、発ガン物質なんだ。これがたくさんつくと、ガンという病気になって死んでしまうんだよ。

 このままだとみんなガンになってしまうよ。脳みそくん、きみはなにか、体によくないこと、していないかい?」

脳みそくんは答えました。

「タバコ、というものを吸っていますが…」

「そうーか、それでみんな弱っているんだな。」と、お医者さんが言いました。

お医者さんは、また話をはじめました。

「脳みそくん、タバコは、本当に体に悪いんだよ!!

タバコには、体に良くないものが、二百種類以上も含まれているんだ。それがみんなを苦しめているんだよ。

 タバコを吸うと、タールやニコチンという毒や、CO(一酸化炭素)という毒が、体の中に入ってしまい、いろいろな病気を引き起こすんだ。

 この毒で、胃袋くんや腸くんが病気になったら、胃袋くんや腸くんは、肝臓くんに栄養を送ることができなくなるんだ。

 肝臓くんが病気になったら、肝臓くんは、血液くんに栄養を渡すことができなくなり、体に栄養が行かなくなるんだ。そうなったらどうなると思う。きみの体は動かなくなり、成長することもできなくなるんだよ。

 この毒で、肺くんが病気になって動けなくなったらどうなると思う。体に必要なO2 (酸素)くんを、血液くんに渡すことができなくなるんだ。そうなったら、きみの脳細胞がこわれて、きみが動かすことのできる手くんや足くん、口くんなど、みーんな動かなくなってしまうんだよ。

 ニコチンという毒は、血管くんをかたくしたり(動脈硬化)、中を狭く細くさせてしまうんだ。血管くんが病気になったら、血液くんや心臓くんが力を合わせてO2 (酸素)くんや栄養を体中に運ぼうとしても、運べなくなってしまうんだ。

 心臓くんの周りの血管(冠状動脈)が狭くなって、もしつまってしまったら、心臓くんの筋肉にO2 (酸素)くんや栄養がいかなくなり、心臓くんが死んでしまうこともあるんだよ(心筋梗塞)。

 脳みそくんの血管の中でも、もし同じように血管がつまったり、血管が破れたりしたら、大変なことになるんだよ(脳梗塞や脳出血)。手くん、足くん、口くんが動かなくなったり、言葉が話せなくなったり、意識を失ったり、死ぬことだってあるんだ。

それでも、きみは、タバコを吸うのかい。脳みそくん!」

と、お医者さんは強く言いました。