(6)

肺くんのところへ行ってみると、みんなは驚きました。肺くんは病気でやっと息をしているようでした。

「どうしたんだい? 肺くん」

(しんどそうに、弱々しく)

「どうしたもこうしたもないよ。毒がどんどんぼくの体の中に入ってきて、もう体中がまっ黒だよ。

 ぼくの仕事は、吸った息の中から、O2 (酸素)くんを、血液くんにたのんで、みんなの体の中に送ってもらうことなんだ。そして、体の中でいらなくなったCO (二酸化炭素)くんを、体の外にはき出しているんだ。

 きみたちが全力で走った後、息をハアハアさせるだろう。その時は、ぼくもいっしょけんめいO2 (酸素)くんを体のすみずみまで送って、走る前の状態に早くもどれるようにしているんだ。でも、もうそれもできないよ。」

「肺くん、どんな毒が入ってきているのか、知っているかい?」

「ぼくが知っているのは、白いけむりのようものがたくさん入ってきて、そのけむりの中に、体中をまっ黒にするタールと、CO(一酸化炭素)という毒と、体をしびれさせるニコチンとかの毒が入っているみたいなんだ。

 ぼくの他にも、血液くんや、血管くんや、心臓くんも、みーんな、困っているみたいだよ。」

「じゃあ、みんなで血液くんのところへ行ってみよう。」