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タクヤは、小学一年生。お母さんと一緒に電車にのって、お父さんが待っている「友野駅」に向かっています。 「お母さん、とものだよ。お母さん!」 タクヤは、コックリ、コックリ、居眠りしているお母さんに言いました。 |
お母さんはタクヤの文句なんかしらんぷりです。タクヤは、電車のドアが開くと、ピョンとホームに出てお父さんを探しました。 お父さんは、プラットホームの奥にいました。白い煙のドーナツを、プカリ、プカリ。 「お父さーん、どうしてこんな所で待ってたの。もっと電車の近くにいてくれればよかったのに。」 |
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「お父さんは、タバコを吸うだろう。タバコはこの場所でしか吸えないんだよ。喫煙コーナーでしかね。」 |
タクヤは、自分達だけ特別な部屋に行けるのがうれしかったのです。 プカーリ パクッ。大変! グルグル グルグル 「うわぁー 目がまわるよー。」 |
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タクヤは体が小さくなっていく気がしました。頭の中は白い煙でいっぱいです。 「タスケテー」 タクヤは、どんどんどんどん、お父さんの体の中に入っていきます。 |
ドスン!
よーく見ると煙の中に小さい男の子がいます。真っ黒な小さい男の子です。 |
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「君は、だあれ?」 |
「タバコを吸うとガンになるんだ。肺ガンになるのは、ぼく達ヤニ坊が、発ガン物質だからだよ。一人一人は小さいんだけど、みんなが手をつなぐとパワーアップしてお父さんより強くなるんだ。 |
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「いやだ いやだ いやだよー。」 タバコなんて大きらい。ヤニ坊なんて大きらい。いなくなっちゃえー。」 「タクヤ。タッくん。お子様ランチが来るわよ。」 いつの間にかヤニ坊はいなくなっていました。タクヤもいつもの大きさにもどっていました。 |
「ぼく、タバコの毒で考える力がなくなっていたんだ。」 「お待たせしました。お子様ランチです。」 |