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タバコの害                                野口 くるみ          
 
          (健ちゃん家の赤ちゃん)

   


ナレータ:ここはコバタ学校です。どうやら今日は、タバコの害についての授業のようです。先生からおあります。
先生:みなさんいいですか。タバコはこんなに害を及ぼしたりするんです。お父さんやお母さんにも、今日のことをよく話してあげましょうね。
生徒:はーい

ナレータ:キーンコーンカーンコーンと、授業の終わりのチャイムが鳴ります。
生徒:起立、礼、先生さようなら。
ナレータ:みんなそれぞれに教室を出ていきました。
 


ナレータ:大きな声が聞こえます。マサル君と幸子ちゃんと健ちゃんは、今、一緒に下校中です。どうやら健ちゃんの家で、今度赤ちゃんが生まれるようです
健:へへへッ。ぼくんち今度、赤ちゃんが生まれるんだよ。
ナレータ:マサル君と幸子ちゃんは口をそろえて
マサル・幸子: いいなぁー
幸子:生まれたら、私にもだっこさせてね。
マサル:順番だよ。でも僕が一番だよ。
ナレータ:健ちゃんはとてもうれしそうです。よっぽど楽しみなのです。
 


ナレータ:健ちゃんは、みんなと別れて自分の家につきました。ガチャ。  
健:ただいまー。
ナレータ:健ちゃんが言うと、家の中から、大きなおなかのお母さんが出てきました。
お母さん:おかえりなさい。
ナレータ:健ちゃんは、お母さんのおなかに耳をあてます。  健:赤ちゃん元気?
ナレータ:健ちゃんは赤ちゃんに話しかけます。
御母さん:あっ、元気だってよ。今、おなかけったよ。健ちゃんに答えているみたいね。
ナレータ:健ちゃんもお母さんもニコニコ顔です。
 


ナレータ:夕方になり仕事が終わったお父さんが帰って来ました。 お父さん:ただいまー。
健・お母さん:おかえりなさい。
健:僕、もうおなかペコペコ。
ナレータ:みんなおいしそうに食べます。
ナレータ:全部食べ終わり、お母さんは片づけ始め、茶碗を洗いはじめました。
お母さん:あら。また赤ちゃんがおなかをけったわ。 
お父さん:ほう。元気がいいなぁ。
ナレータ:その時、お父さんが…
お父さん:フゥー
 


お母さん:あら、どうしたのかしら? 赤ちゃんがおなかをけらなくなったわ。
ナレータ:白い煙がスーとのぼります。健ちゃんはハッとします。
健:お父さん…!!
ナレータ:健ちゃんは急に大声をあげました。
お父さん:なんだい、健?
健:お父さん、それタバコだよね?
お父さん:そうだよ、それがどうしたんだい。
ナレータ:お父さんは首をかしげます。
健:……。あのね、ぼく、今日学校でタバコの話しを聞いたんだ。
 


ナレータ:それから健ちゃんは、先生から聞いたこと、ビデオで見たことを話しはじめます。
健:ぼく、タバコが体に悪いなんて知らなかったよ。今日、タバコのビデオを見たんだ。タバコで病気になったりするんだって。周りの人も病気になりやすくなり、赤ちゃんにも悪いんだって…。
ナレータ:お父さんはハッとして、タバコの火を消します。
健:それにねー。一本吸うだけで命が短くなっちゃうんだよ。僕、お父さんにタバコ吸ってもらいたくないよ…。
ナレータ:健ちゃんの目に涙があふれます。
お父さん:健……。
 


ナレータ:世の中には、たくさんの人がタバコを吸っています。街を歩いていると、タバコを吸っている人が目につきます。
「けむい」と思ったことはありませんか?「けむい」と思った時こそ、命を減らしている時なのです。年をとっている人より、若い人のほうがタバコの害を受けやすいので、街中などで、かっこつけてタバコを吸っている若者の多くは、体力や記憶力が低下したり、集中力がなくなったり、といろいろな害をうけているのです。若い女の人などは、シミや肌荒れになりやすく、高い化粧品をつけても、タバコの害が大きくて効果がありません。
 


タバコには、ニコチン、という成分が含まれています。
それに、一酸化炭素というものがあわさると、血管がつまりやすくなったりします。
健ちゃんのような子どもたちが、タバコや、タバコの煙を吸うと、吐き気やめまい、息切れや頭痛などがおこることがあります。

ひどい時には意識不明になったりすることもあるそうです。
 


健:赤ちゃんが生まれた時、タバコやタバコの煙があったらかわいそうだよね、お父さん

お父さん:健…。うーん、そうだな。かわいそうだな。お父さんが悪かった。がんばって、禁煙することにするよ。

ナレータ:健ちゃんは、うれしそうです。お父さんに健ちゃんの思いが伝わったようです。
 


ナレータ:今日は日曜日です。あれ…? 健ちゃん?
健:行ってきま〜す。
ナレータ:健ちゃん、なんだかとてもうれしそう。
健:今日はね、僕、お兄ちゃんになるんだ。
ナレータ:どうりでうれしそうなわけですね。

健:早く赤ちゃん見たいなぁ。僕もお兄ちゃんになるんだもんなぁ。

ナレータ:お父さんも健ちゃんも少し落ち着きがありません。
 


その時です。「オギャー」という元気の良い赤ちゃんの声が聞こえてきました。
看護婦:健ちゃん、かわいい女の子が生まれましたよ。
健:わーい!! ・・・ってことは妹だね 早くみたいなー。
看護婦:もうすぐ見られるわよ。
健:うれしいなぁ。

お父さん:健、おまえももう、お兄ちゃんだぞ

健:うん 
 


ナレータ:健ちゃんはとてもうれしそう。

【健ちゃん日記】  ○月 ○日 日曜日

今日は妹が生まれた。
小さくてとてもかわいかった。
とても幸せそうな顔でねていた。
みんなとても幸せそうだった。

それと… お父さんも、禁煙してくれて、ありがとう                                      
                                              END
 

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