無煙環境通信bR1より(特定非営利活動法人「子どもに無煙環境を」推進協議会の会誌,2000.5.24発刊)

健康日本21の本文に「喫煙率半減」が復活!!

・「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の目玉であるタバコ対策分科会報告の「10年で喫煙率を半減する」が,タバコ関連産業側とタバコ族議員の横やりで,大幅な後退に追い込まれる動きに,私たちは,急遽,「喫煙率半減」復活を求める署名やメール運動に取り組み,15万以上の復活署名を厚生省に寄せました。(前報)

・2月17日の「健康日本21企画検討会」で,半減目標は削除されたとの報道が続きましたが,私たちは,年度末最後の日の3月31日に公衆衛生審議会(総合部会)で,最終的に確定するまで,半減復活は何らかの形で必ず盛り込まれる,との強い希望を持って,諦めずに,署名や要請を続けてきました。座長も,立案した委員も反対していて,「健康日本21」を頓挫させ,来る21世紀の健康づくりを歪め,現場の希望を踏みにじるこんな進め方は,許されるはずがありませんし,今後10年に亘って強い批判を浴び続けることが明々白々なことがまかり通るはずがない,と信じてきました。

・結果は,同封のたばこ対策分科会報告のように

 
「喫煙率半減」は本文の中で,スローガンとして復活しました


 
「健康日本21」のたばこ対策報告の
 3.現状と目標 (2)たばこの健康に及ぼす影響に関する認識
 の本文の最後に以下の文言が加えられていました。

  これらの十分な情報提供を通して,「喫煙率半減」を
  スローガンに,喫煙率の減少が大幅に進むよう努める。

・確かに目標値としては削除され,本文の数万行のホンの2行として加えられ,インパクトは弱い感はありますが,タバコ対策は「健康日本21」の重点として今後取り組まれるとのことで,それなりに評価しても良いように思います。(皆さま,署名やメール,ファクス,ご苦労様でした,有り難うございました)

・この半減復活は,委員や関係者の方々,新聞論調,署名の後押し,その他様々の動きの中で,厚生省としても,スローガンの形で半減復活せざるを得なかったように思われます。この件は,どういう訳か,各新聞とも全く報道されていませんでした。目標値としては削除され,本文の数万行のホンの2行として加えられた文に気づかなかったか,あるいは評価を全くしなかったのでしょうか。

・3/31から少し日が経ってからですが,スクラップ112のように,赤旗が,日本禁煙友愛会の署名活動の紹介にあわせ,この半減復活・明記を正しく報道してくれました。

・厚生省は,来年度から十年で、喫煙率半減をスローガンに、「たばこの害の知識普及」「未成年の喫煙をなくす」「分煙の徹底」「禁煙希望者への支援」の4点を柱としたタバコ対策を含め,「健康日本21」を進めていくために,厚生事務次官を本部長に「健康日本21推進本部」を設置し,地方計画で具体化を進めるとのことです。

・懸念は,タバコ対策について,具体策が盛り込まれていないことです。「非喫煙者健康保護法」の制定や,タバコ税引き上げなどの不可欠な対策は,今後の世論の動向によるのでしょうか。