以下と同趣旨を,国会の関連委員会の議員の方々にも要請しました。
平成10年(1998年)7月11日
警察庁長官 様
「子どもに無煙環境を」推進協議会
たばこれす
「未成年者喫煙禁止法」の実効性強化と抜本的施策に関する要望
謹啓,わが国の子ども達を喫煙の害から守るために「未成年者喫煙禁止法」が制定
されて,もうすぐ100年が経過しようとしております。本法は富国強兵のために明治
中期に制定され,爾来子ども達の健康を喫煙から守る法的な防波堤として,国際的に
も誇るべきユニークな法律として今日に至っております。
しかし未成年者の喫煙が年々増加の一途にあることが報告され,次代を担う青少年
の健康影響が憂慮されています。一方で未成年者の喫煙を誘う社会環境の改善が進ま
ず,むしろその喫煙を巧妙に誘う現実が進行していることが,保護者や,小学校,中
学校,高等学校等の教育・保健関係者,青少年育成関係者,医学関係者を初め,子ど
も達の心身の健全育成を願う多くの者の心を痛めています。改善を要する課題はたば
こ問題だけではないにしても,一方でたばこ問題の改善なくして子ども達を取りまく
社会環境の改善は困難です。
貴庁におかれましても,未成年者喫煙禁止法の制定100周年を前に,その対策に取
り組んでいると報道されていますが,よりいっそうの本法の実効性強化と抜本的施策
のために以下の要望をいたしますので,早急な対策策定をお願い申し上げます。
記
1.未成年者の喫煙実態の全国調査,及び未成年者の喫煙流行の社会的要因の調査と分
析を,国として行ってください。
2.国として,関係省庁による未成年者の喫煙問題の改善のための抜本的な対策協議機
関を設けてください。
3.未成年者を含むヤングを対象とした雑誌等のたばこの広告や奨励する記事は,未成
年者にたばこを勧める結果をもたらし,未成年者喫煙禁止法の第四条に抵触してい
る可能性があります。これらのたばこの広告の制限・禁止が,本法の実効性のため
に不可欠ですので,その対策を進めてください。
4.たばこの自動販売機は,未成年者喫煙禁止法の第四条に抵触していますので,その
排除命令を執行してください。それが本法の規定で不可能な場合は,排除のための
新たな条項を盛り込み,あるいは新たな法律を制定してください。
5.本法の第四条の違反者は,営業停止・免許停止処分を課するなど,罰則を強化して
ください。
6.たばこの注意表示に,未成年者の喫煙は禁じられていること,たばこは未成年者の
健康に特に有害なこと,未成年の女子の喫煙は母性にとって有害なこと,未成年か
ら喫煙すれば早死にしやすく,かつ禁煙が困難なこと,などの表現を,パッケージ
の表裏の半分以上の面積に義務づけるよう,大蔵省やたばこ製造会社に要請してく
ださい。
7.薬物防止教育とともに,実効性のあがる喫煙防止教育を,小学校低学年から行い,
また地域ぐるみで取り組むよう,文部省,厚生省など関係省庁と連携協議し,進め
てください。
敬 具
未成年者喫煙禁止法(明治33年〔1900年〕3月7日)
第一条 満二十年に至らざる者は煙草を喫することを得ず
第二条 前条に違反したる者あるときは行政の処分を以って喫煙の為に所持する
煙草及び器具を没収す
第三条 未成年者に対して親権を行う者情を知りて其の喫煙を制止せざるときは
□円以下の科料に処す
二 親権を行う者に代わりて未成年者を監督する者亦前項に依りて処断す
第四条 満二十年に至らざる者に其の自用に供するものなることを知りて煙草又
は器具を販売したる者は□円以下の罰金に処す
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