2016/12/14 
堺市議会・総務財政委員会での請願についての4会派の反対意見
(録音起こし;西 哲史議員が4会派を代表して意見)           後半に反論・批判文
                                                         

 ただいま議題となっております請願第2号「堺市議会喫煙の廃止」について、大阪維新の会堺市議会議員団、公明党堺市議団、自由民主党市民クラブ、ソレイユ堺を代表して、意見を申し上げます。

 この請願の趣旨には、禁煙の推進が国内外で進んでいるとされ、本喫煙室の存在に驚かれているとされています。

 まず、禁煙の推進をうたうのであれば、本喫煙室の廃止だけでなく、敷地内喫煙所の廃止も本来はうたうべきであり、政治的なパフォーマンスを感じます。

 た議会による円満解決を期待するとしながら、議会運営委員会は協議を先送りしたと断言されております。公式の会議の場だけでなく、我々は、この件を継続して協議しているにもかかわらず、こうした認識を示されている点についても疑義を感じざるをえません。

 さらに、請願事項には、あたかも市議会の喫煙室が議員のみの利用に限定され、それが社会的公平性を欠いていると解釈される記載があります。しかし、この喫煙室は、市民の方々や職員にも開放されており、この認識とは明らかに異なっていると考えます。

 また、喫煙室から煙が漏れ、非喫煙者の健康リスクになっているともあります。しかし受動喫煙防止の観点から設備もされており、検査も徹底し、基準を満たしていることも確認されています。ここにも認識の誤りを指摘せざるをえないところであります。

 そして、最後に禁煙の奨励をされておりますが、この請願の目的が請願趣旨文と併せて鑑みると、やはり禁煙の奨励であると解釈されます。禁煙を奨励されることは確かによいとは思われますが、喫煙に関連する条約、法律、政省令、指針、通知、あるいは条例において、未成年者喫煙禁止法に定められる未成年者に対する喫煙の禁止以外、個人の喫煙を制限するものはございません。我々の立場は、あくまで2003年の健康増進法施行、その目的である受動喫煙を防止することが責務であると考えております。

 このことから、我々は、今議会に「受動喫煙防止対策の強化に関する決議」を提案させていただき、その観点から、堺市議会の喫煙室の廃止のみならず、敷地内喫煙所についてもより強力にその対策を行うことを決議したいと考えております。

 以上の理由により、この請願に反対の意を表しまして、討論といたします。

 

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上記への反論・批判文です

1.
まず、禁煙の推進をうたうのであれば、本喫煙室の廃止だけでなく、敷地内喫煙所の廃止も本来はうたうべきであり、政治的なパフォーマンスを感じます。


⇒請願内容は「議会フロアーの喫煙室の廃止」に限定しているもので、「禁煙の推進」ではないので、「敷地内喫煙所の廃止も本来はうたうべきである」と言われても、当方のお出しした請願では何ら関知するところではありません。

・「政治的パフォーマンス」、の意味が判りませんし、そのように言われると戸惑うばかりです。12年前の喫煙室の設置の時点で、住民監査請求及び請願をした者として、「喫煙室の廃止」が9月時点で実現がならなかったようで、本当に実現するものかどうか判らなかったし、廃止の後押しになればとも願い、要望としての請願を行ったものです。

2.また議会による円満解決を期待するとしながら、議会運営委員会は協議を先送りしたと断言されております。公式の会議の場だけでなく、我々は、この件を継続して協議しているにもかかわらず、こうした認識を示されている点についても疑義を感じざるをえません。

2016/9/27の朝日新聞で「堺市議会の喫煙室存続、結論を先送り―屋内全面禁煙の堺市役所で唯一、本庁舎議会フロアーに設置されている喫煙室の存続をめぐり、市議会の議員運営委員会は26日、結論を先送りし、11月の議運で改めて論議することを決めた。」と報道されていることから、「先送り」と書かせていただいたもので、「継続して協議しているにもかかわらず」と言われても、内部的な動きは当方には判りようがありません。
 また要望・請願の件に関しては、廃止を提案された関係者には10月に、予めご相談申し上げ、
(請願書提出の期限の)11/14までにご返事をいただけなかったので、請願書の提出に至った経緯があります。当方としてはそれなりに手順を踏んでいるつもりなので、「疑義を感じざるをえません。」と言われても当方には理解が及びません。

3.さらに、請願事項には、あたかも市議会の喫煙室が議員のみの利用に限定され、それが社会的公平性を欠いていると解釈される記載があります。しかし、この喫煙室は、市民の方々や職員にも開放されており、この認識とは明らかに異なっていると考えます。

⇒「この喫煙室は、市民の方々や職員にも開放されており、」だとするなら、屋内全面禁煙の堺市役所の議会フロアーに喫煙室を唯一例外として設置することは、市民が来庁し利用するとした場合に不公平性に巻き添えすることになりかねず、非礼になりかねないのでは、と心配いたします(職員で吸う方はいるものではないと思いますが)。


4.また、喫煙室から煙が漏れ、非喫煙者の健康リスクになっているともあります。しかし受動喫煙防止の観点から設備されており、検査も徹底し、基準を満たしていることが確認されています。ここにも認識の誤りを指摘せざるをえないところであります。

⇒浮遊粉塵の基準値の0.15mg/m^3は、元々は室内での喫煙が問題にされていなかった45年前に大気汚染防止法の値を参考に決められた数値で、その後環境省の大気汚染による「微小粒子状物質PM2.5に係る環境基準」は、20099に「1年平均値が=0.015mg/m^3以下であり、かつ1日平均値が0.035mg/m^3以下であること。」と告示しています。
 法的にはこの環境基準値は屋内には適用はされないとしても、喫煙室からは以下のように必ず煙は漏れ出て、この環境基準値を超えることは少なくありませんし、健康リスクを及ぼします。(タバコ煙には発がん性があり、閾値はないのです)

(1)
喫煙室では、喫煙者が出入りする際に、タバコ煙は必ず漏れ出るので、喫煙室外の空間はタバコ煙で汚染される。具体的には
(2)
喫煙者が入ると、その体積分の喫煙室内の汚染空気が出入口から押し出される。
(3)
喫煙室から出る喫煙者の後ろに出来る空気の渦に巻き込まれて喫煙室内の汚染空気が室外に持ち出される。
(4)
喫煙者の肺に充満したタバコ煙が禁煙区域で吐出される。


※国立がん研究センターの控えめな推定でも、「受動喫煙によって、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群で死亡する人は、年間15,000人と推計された」と発表されています。法律の空白でかような結果が出ている訳で、基準を満たしているから大丈夫、とはとうてい言えるものではありません。
 堺市は2004年時点で既に”基準を満たしたとしても、喫煙室設置では受動喫煙のリスクは回避できない”として自主的に「市役所の屋内全面禁煙」を決めたのですから、市議会もそれに同意されるべきでした。

5.そして、最後に禁煙の奨励をされておりますが、この請願の目的が請願趣旨文と併せて鑑みると、やはり禁煙の奨励であるとも解釈されます。

⇒請願内容は「喫煙室の廃止」です。廃止になれば、僭越ではありますが、結果的に「寿命にも、健康寿命にも、ご自身の健康のために、またご家族のためにも」なるのでは、と申したまでです

6.このことから、我々は、今議会に「受動喫煙防止対策の強化に関する決議」を提案させていただき、その観点から、堺市議会の喫煙室の廃止のみならず、敷地内喫煙所についてもより強力にその対策を行うことを決議したいと考えております。
 以上の理由により、この請願に反対の意を表しまして、討論といたします。

⇒理由には理や説得力はとうてい無いように思われ、委員会での不採択は誠に残念ではありますが、喫煙室の廃止を含む「受動喫煙防止対策の強化」の確実な早期の実効を是非によろしくお願い申し上げます。

 

          一般社団法人 日本禁煙学会(大阪支部)、子どもに無煙環境を推進協議会
 理事  野上浩志