大阪府受動喫煙防止対策検討部会のJTと販売組合のヒアリングシートについて
2012.8.24 NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会
B.大阪府下たばこ商業協同組合のヒアリングシートについて (意見)
A.JTのヒアリングシートについて (本会からの批判) JT> 受動喫煙と肺がんや虚血性心疾患などの発生との関連性は、大部分の疫学研究において、統計的に有意な結果は示されておらず、科学的に説得力のある証明がなされていないものと考えております。 本会の意見→これは全くの嘘で、既に証明されており、府受動喫煙防止対策検討部会でも、部会長と部会長代理から「前回に国内外の医学的データを説明したように関連は充分に実証されていて、疑義はない。委員からその旨のご意見もなかった」とのご指摘がありました。 2. JT> 受動喫煙につきましては、気密性が高く換気が不十分な場所において、…特に、乳幼児、子供、お年寄りなどは、…たばこを吸われる方は、その周りでの喫煙には十分配慮する必要があると考えます。 本会の意見→「受動喫煙と諸疾患との関連」についても1項と同様、部会長と部会長代理から「前回に国内外の医学的データを説明したように関連は充分に実証されていて、疑義はない。委員からその旨のご意見もなかった」とのご指摘がありました。 3. 本会の意見→受動喫煙は、喫煙者の煙⇒非喫煙者の健康被害 という一方的加害・被害行為であって、「協調ある共存」はあり得ないことです。 4. 本会の意見→「喫煙マナー向上」とは、非喫煙者がいる空間では喫煙しないことこそがマナーです。 ・「店頭表示貼付推進」を言うのであれば、本会がヒアリングシートででも指摘しているように、例えばフィリップモリス社が提案しているように「喫煙が許可される場所では、環境中たばこ煙が非喫煙者に有害であるとの公衆衛生当局の見解を伝える表示を掲げるようにするべきです。」の自主的実施を率先して広く呼びかけるべきです。 5. B.大阪府下たばこ商業協同組合のヒアリングシートについて (本会からの意見) 本会の意見→これは全くの事実誤認で、府受動喫煙防止対策検討部会でも、部会長と部会長代理から「前回に国内外の医学的データを説明したように関連は充分に実証されていて、疑義はありません。委員からその旨のご意見もなかった」とのご指摘がありました。 2. 本会の意見→「喫煙室の設置など適切な分煙が社会生活における望ましい環境整備」が不可なことは、JTへの反論の3、4項でも指摘したとおりです。 3. 本会の意見→高い設備費をかけて「喫煙室」など作る必要は全くなくて、全面禁煙にすれば費用は全くかからないのではないでしょうか。例外規定を設けて全面禁煙にしないから、互いの店で、禁煙にしたら客が減るのではないかと心配するのかも知れませんが、禁煙にしても客が増えている店は多くありますし、条例などによる一律的な同時禁煙の義務づけであれば客離れの心配は全くないし、むしろ受動喫煙がなくなることによって、それまで利用を控えていた人たちや家族づれなどのレストラン・飲食店の利用増で、客は増加すると思われ、諸外国でその実績報告が数多くあります。 4. 本会の意見→「嗜好品」については、他所でも指摘しましたが、タバコは「嗜好品」でなく「嗜癖品」と呼ぶべきものです。有害で依存性の強いタバコは、下記のように、とうてい「嗜好」と言うことが許される商品ではありません。 ・WHOの国際傷害疾病分類第10版(ICD-10)において、タバコの使用は「精神作用物質による精神及び行動の障害」に分類されました。日本でも、中央社会保険医療協議会により正式な依存症疾患と認められ、2006年4月から「ニコチン依存症管理料」として禁煙治療が診療報酬上評価され、ニコチン依存症患者の病院での禁煙治療が健康保険制度の適用となって、2012年7月現在で、全国に14,000の保険適用病院・医院があります。 ・喫煙習慣の本質はニコチン依存症であり、本人の意志の力だけで長期間の禁煙ができる喫煙者はごくわずかであることが明らかになっています。欧米ではニコチン依存症を「再発しやすいが、繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患」と捉え、禁煙治療に対する保険給付などの制度を導入して、多くの喫煙者が禁煙治療を受けることができるよう社会環境の整備を進めています。2005年2月27日に発効したWHO「たばこ規制枠組条約」(FCTC)においても、「締約国は、たばこの使用の中止及びたばこへの依存の適切な治療を促進するため、自国の事情及び優先事項を考慮に入れて科学的証拠及び最良の実例に基づく適当な、包括的及び総合的な指針を作成し及び普及させ、並びに効果的な措置をとること」(同条約第14条)が求められています。(禁煙治療のための標準手順書 http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/
) ・FCTCはその前文で以下のように宣言しています。「たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されている、、、紙巻たばこ及びたばこを含む他の製品が依存を引き起こし及び維持するような高度の仕様となっていること、紙巻たばこが含む化合物の多くに及び紙巻たばこから生ずる煙に薬理活性、毒性、変異原性及び発がん性があること並びにたばこへの依存が主要な国際的な疾病の分類において一の疾患として別個に分類されている…」 (外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty159_17a.pdf
) 5. 本会の意見→寄与…については、部会長と部会長代理から、「タバコ税収入より、損失の方がはるかに多額になっています。前回そのように報告し異論はなかった」とのご指摘がありました。市町村の財政をタバコ税に依存するのではなく、損失面も加味して、依存を脱していくことが避けられない時代趨勢とご理解いただきたいです… ・担税物品だからといって、タバコ税を払うのは喫煙者であって、販売組合・販売店という訳ではありませんし、喫煙者の代理代弁のお立場にあるものでもないのではないでしょうか? 喫煙も受動喫煙もその有害性が明らかになり、皆が健康被害を受けており、かつ「タバコ煙」が発がん物質第1類=ヒトに対する発がん物質であることからすれば、アスベスト等の規制と同様に、規制が強まっていくのは当然の時代の趨勢ではないでしょうか。 ・「たばこ小売販売店への影響」については、その矛先を受動喫煙防止を緩める方向に向けるのではなく、社会的経済的援助による転業支援などで対処すべきではないでしょうか。例えば葉タバコ農家では、その転作支援が農水省予算で入れられていると同様に、タバコ販売店の転業や融資の予算化は可能で、その財源の一部にタバコ税を充てることは可能ですし、私たちも提案しているところです。 ・喫煙率が年々低下し、喫煙人口も、売上げ本数も漸減(急減)していっているのが現実です。その社会的趨勢はもはや止めようがありません。しかし2010年10月からのタバコ税率上げで、販売代金も税収も十数%は増えた(2011年度/2010年度)という実績があります。タバコ値上げや受動喫煙防止(非喫煙者のいる場所での全面禁煙)などに絶対反対を頑なに主張し続けるのではなく、タバコ税と価格を上げることによって、その一部を転業助成に回し、タバコ依存販売から脱却していく方策を今こそ真剣に考えていただくことはできないのでしょうか。自分たちの販売減収の見通しだけに捕らわれて、タバコ対策や国民・府民の健康づくりに反対し横やりを入れ続けては、国民・府民の支持は得られないでしょうし、このままではタバコ産業全体の自然消滅は必至とならないでしょうか? 残された時間はそう長くはないように思われます。JTの利益一辺倒のエゴに引きずられることなく、国民の健康づくりを優先させ、抜本的なタバコ対策と転業等の枠組みへの早期の方向転換を願ってやみません。 |