喫煙所「復活」を撤回 広島合同庁舎、入居機関7割「反対」

2021/10/18 22:52  中国新聞 https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=801442&comment_sub_id=0&category_id=112

 国の出先機関が集まる広島合同庁舎(広島市中区)で、全面撤去した喫煙所の「復活」計画が撤回されたことが18日、分かった。入居する23機関でつくる連絡会議が、6月に決めた再設置を断念した。広島県医師会(東区)や住民の反発を受けて、庁舎を管理する中国財務局が全機関に賛否を再確認したところ、「常識的に考えて時代に逆行している」などとして約7割が反対したのが理由という。

 財務局によると、屋外喫煙所の再設置への賛否を9月22日、書面で求めた。今月6日にそろった回答では約7割の機関が反対の立場だったため、断念が連絡会議の意思と判断した。結果は全機関に通知し、異議は出なかったという。

職員の路上喫煙などに住民から苦情

 合同庁舎は2019年6月末、行政機関の敷地内を原則禁煙とする改正健康増進法の一部施行を受けて、1~4号館のそれぞれの1階にあった屋内喫煙ゾーンを全面撤去した。ただ、職員の路上喫煙などに住民から苦情が相次いだ。

 苦情を扱う中国四国管区行政評価局の提案で今年6月、連絡会議が書面で協議し、屋外への喫煙所の設置を決定。敷地北端で市道に面した屋外駐輪場の一部を活用し、9月の完成を目指していた。庁舎一帯は市ぽい捨て防止条例に基づく喫煙制限区域で、喫煙所以外の公共の場で吸うと千円の過料が科されるため、設置を急いだ面がある。

 これに対し、県医師会が8月、喫煙による健康被害を助長するとして、常任理事会で再設置への「断固反対」を決議した。松村誠会長が財務局を訪れ、計画を断念するよう訴えていた。

 今回の対応について、松村会長は「喫煙所を設けても、服や髪に付いた有害物質の拡散は防げない。今回の問題を機に、喫煙所を残す他の官公庁も国民に範を示す立場を自覚してほしい」と話している。

 一方、設置に賛成していた中国たばこ販売協同組合連合会(中区)の岩佐育男事務局長は「誰にも迷惑を掛けない分煙がなぜいけないのか」と憤った。

 この日の昼休み、合同庁舎に入る機関の60代の男性職員が、近くの民間駐車場で喫煙していた。「たばこは合法的に売られているのに、吸うところがないのはおかしい」とぼやいた。

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