国会議員が今年4月の改正健康増進法の全面施行以降も法で禁じられた議員会館の事務所(自室)での喫煙を続けている問題が波紋を広げている。橋下徹元大阪市長らがツイッターで「議員特権」と怒りの声を上げたのを機に、インターネット上で批判が拡散し、内外から調査を求める声が上がる。しかし、与野党幹部らは静観の構えで、国会の自浄作用が問われそうだ。
「これ(報道)が事実なら、議員て何のためにいるんだろ?」。橋下氏は14日、問題を取り上げた同日の北海道新聞の記事を読んでツイッターで反応。「おまえらは特権階級か! 役所が禁煙ならまず議員こそが禁煙だろ!」と指摘した。
現職議員も改善を求め、自民党の三原じゅん子女性局長は14日のツイッターで「どうしてこういう事するかな。喝!」と問題視。自民党たばこ議連の副会長で愛煙家の石破茂元幹事長も19日のテレビ番組で「それやっちゃったら終わり。国会議員に対する、ただでさえあんまり高いとはいえない信用が、ますます低くなっちゃう」と語った。
記事を転載したサイトには約8千件のコメントが寄せられた。「法律をつくる側が自ら破るのは言語道断」「調査して、実名をさらすべきだ」などと厳しい意見が大半だ。
動かぬ与野党幹部
ただ、与野党の幹部の反応は鈍い。自民党の森山裕国対委員長は20日、記者団に「決められたルールを議員はしっかり守ることに尽きる」と述べるにとどめた。立憲民主党の安住淳国対委員長は同日、記者団の質問に「それ(議員会館の自室での喫煙)は禁止されているのか」と聞き直した上で「ルールに沿った対応を会派の中で徹底したい」と話した。
国会の一部である議員会館は各階に国の基準を満たした「喫煙専用室」が設けられているが、そこまで足を運ばず、法で禁じられた自室での喫煙をする議員が与野党ともに存在する。違法な喫煙は保健所の指導や命令の対象で、従わなければ30万円以下の過料が科される。
改正健康増進法で都道府県庁や役所などの行政機関は敷地内が全面禁煙となったが、喫煙する議員らの圧力で、国会や地方議会は「議決機関」として例外的に屋内禁煙としつつも喫煙専用室を設置できるなど区別された。超党派の「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」の松沢成文幹事長は「例外をつくったことが最大の間違いだ」と指摘している。