米、メンソールたばこ禁止へ 来年中に製品基準の改定案


2021年4月30日 12時03分 朝日 
https://digital.asahi.com/articles/ASP4Z3TQPP4ZUHBI00F.html

 米食品医薬品局(FDA)は429日、メンソールたばこや風味付きの葉巻について、国内で製造や販売を禁止する方針を示した。来年中にたばこの製品基準の改定案をまとめるという。

 FDAによると、メンソールは、たばこ製品の不快感を覆い隠すことで、中毒性を高めて吸い始めるのを容易にし、特に若い年代への影響が大きいという。

 FDAは米国内でのたばこの製造や販売、流通に関する製品基準を定め、規制する権限を持っている。2009年施行のたばこを規制する法律に基づき、メンソールを含むたばこ製品の影響について検討していた。

 米国では現在、メンソールたばこの喫煙者は約1860万人と推定され、禁止すると約92万人の禁煙につながる可能性があるという。禁止は製造業者や流通業者などが対象で、消費者が所持したり、使ったりすることに対しては強制的な対応を取れない。

 FDAのジャネット・ウッドクック長官代行は「たばこを吸う割合が多い有色人種や低所得者層などの健康格差の解消につながる」との声明を出した。 

米、風味付きたばこ禁止方針  食品医薬品局が発表 禁煙困難

2021.4.30 10:57  共同通信  https://www.sankei.com/world/news/210430/wor2104300009-n1.html

【ワシントン共同】 米食品医薬品局(FDA)は29日、メンソールの紙巻きたばこと、風味付きの葉巻の製造や流通、販売を禁止する方針を発表した。1年以内に、製品の基準案をまとめるとしている。メンソールたばこは通常のたばこに比べ依存が生じやすく、禁煙が難しいことや、若者が喫煙を始める端緒になりやすいとの調査結果がある。

 人権団体は、メンソールたばこの喫煙者が多い黒人に狙いを定め、たばこ産業が販売戦略を展開していると問題視し、禁止を求めていた。米メディアは、米国の紙巻きたばこ市場でメンソールは3分の1以上を占めており、たばこ産業の反発や訴訟も予想されるため、実現までには時間がかかると報じている。

 FDAは「喫煙に関連する死や若者がたばこを吸い始めるきっかけを減らし、喫煙者が禁煙に取り組む機会を増やすことにつながる」としている。またメンソールたばこを吸う喫煙者の割合は、白人の30%に対し黒人は85%だとし、黒人や貧困層など特定の層に偏りがちだとして「健康格差を解消する」とした。 

米FDA、メンソールたばこと風味つき葉巻を禁止へ

2021.04.30 Fri posted at 09:26 JST CNN https://www.cnn.co.jp/usa/35170147.html 

(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は29日、メンソールたばこや、メンソールを含む風味つきの葉巻を来年中に禁止するための措置を取っていることを明らかにした。

禁止の狙いは、これら2製品の使用による「病気や死を大幅に減らす」ことにある。米疾病対策センター(CDC)によると、喫煙は防げる死因の筆頭に位置している。

FDAのジャネット・ウッドコック長官代行は声明で、メンソールたばこや風味つき葉巻の禁止は人命を救う助けになると説明。特に、こうした製品の影響を過大に受ける層にとって効果が大きいと話した。

FDAは今回の措置について、喫煙を始める若者を大幅に減らし、喫煙者の間で禁煙のチャンスを増やし、有色人種や低所得層、LGBTQ+(性的少数者)といったたばこ製品を使う可能性が高い人たちの健康格差に対処する助けになるとしている。

FDAは1年以内に禁止措置を導入したい考え。今回提案した変更は法的意見の公募期間を経る必要があるため、直ちにメンソールたばこの禁止に踏み切ることはできない。

今回の規制はたばこメーカー、流通業者、小売業者、卸売業者、輸入業者のみに適用される。メンソールたばこを所持または使用する個人に対して禁止措置を取ることではできない。

CDCによると、米国で2018年に販売された全てのたばこのうち、3分の1以上がメンソール風味だった。18年は統計を入手可能な直近の年となっている。
 

米、メンソールたばこ禁止へ 当局が来年に基準案取りまとめ

配信 ロイター https://news.yahoo.co.jp/articles/f3d8cdf45b75a3a56138b2fa813b74f2509e588c

[29日 ロイター] -     米食品医薬品局(FDA)は29日、メンソールたばこと風味付き葉巻を国内で禁止する方針を示し、製品の基準案を来年中に取りまとめると発表した。

人権擁護団体は、たばこ産業のマーケティング戦略が影響し、アフリカ系米国人によるメンソールたばこの利用率が白人と比べて高く、健康被害をもたらしているほか、若者の喫煙を助長しているとして、禁止を求めていた。

たばこ大手の業績に大きな影響が及ぶことは必至だ。米アルトリア・グループと英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)傘下のレイノルズ・アメリカンは、FDAの提案を精査するとしつつも、メンソールたばこの規制や禁止を裏付ける科学的根拠はないと主張した。

英インペリアル・ブランズの米部門ITGブランズは、FDAの方針に失望しているものの、予想外ではないとした。

メンソールたばこは米たばこ市場全体の3分の1超を占める。カリフォルニア、マサチューセッツなど複数州ではすでに禁止されている。

 

米国メンソールたばこ禁止、ジリ貧「JT」への影響は?嫌煙家のせいじゃない、世界中で規制されるワケ

2021年5月1日 moneyvice https://www.mag2.com/p/money/1047487

アメリカでメンソールたばこの禁止などを盛り込んだ、たばこ製品の新たな基準案を来年中に公表する方針を明らかにしたと報じられ、日本国内でも愛煙家の間で動揺の声が広がっている。

報道によると、アメリカのFDA(食品医薬品局)は声明を発表し、メンソールのたばこにはニコチンの効果を高め中毒性が増す可能性があるとも指摘。メンソールを禁止することによって、多くの人の禁煙を助けることに繋がるとしている。

さらにメンソールたばこは、白人に比べて黒人や低所得者層の喫煙率が圧倒的に高いとのことで、人種間の健康格差の是正にも繋がるとFDAはコメントしているという。

世界的な流れとなっている「メンソールたばこ禁止」

吸った時の清涼感、さらにたばこ独特の苦みも和らぐということで、喫煙者の間でも一定のファンが存在するメンソールたばこ。ただ、その吸いやすさが故に、若者の喫煙の入り口となっていると度々指摘されている。

さらにメンソールたばこに関しては、通常のたばこに比べて依存性が高く禁煙も成功しづらいなどの弊害があるとも、先述のFDA2013年の時点で指摘している。くわえてその清涼感から体調の悪い時でも吸いやすく、通常のたばこよりも深く吸い込みがちになる点も、健康上のリスクを押し上げているとされる。

そのため、EU加盟国やイギリスといったヨーロッパ諸国では、20205月の段階でメンソールなどの風味付きたばこの販売がすでに禁止に。またアメリカ国内においても、マサチューセッツ州ではすでに20206月から風味付きたばこの販売が禁止になっており、今回の方針によって、それが国全体に広がることになる。

先日20日にも、たばこメーカーに対してニコチン含有量の引き下げを義務付ける規制強化を検討中と報じられるなど、たばこへの強硬的な姿勢が目立つバイデン政権だが、恐らくそのキーマンとなっているのは、バイデン政権下で新型コロナウイルス対策責任者に就任したデービッド・ケスラー氏。ブッシュ(父)政権とクリントン政権下でFDAの長官を務め、抗エイズ薬の承認手続き期間短縮やたばこ産業規制などに取り組んだ人物のようだ。

ちなみに、記事のなかにある「メンソールたばこは、白人に比べて黒人や低所得者層の喫煙率が圧倒的に高い」という記述だが、今回の報道以前からメンソールたばこを巡っては、この風味を選ぶことの多いアフリカ系米国人の健康を害しているとして、訴訟が起こされているといい、どうやらそのことを意識したコメントのようである。

好決算だったJTにも影響はあるのか?

ヨーロッパはもとより、アメリカ国内でもたばこに対する視線が厳しいものとなっていくなか、決して対岸の火事とはいかないのが、世界有数のたばこメーカーであるJT。先述の「ニコチン含有量の引き下げ義務付け」報道が出た際も、アメリカ国内での話にもかかわらず、JT株が連想売りされる一幕があったばかりだ。

JTはここ数十年に渡り、断続的に国内たばこ事業のリストラを繰り返していて、今年2月にも3000人規模の大規模リストラを発表している。たばこ自体の需要が減り続けていることがもちろん大きな理由だが、ここに来てコロナ禍も国内市場の縮小に拍車をかけているようで、ついには上場以来初となる減配に。株価が一時は大幅下落となるなど、投資家の間で衝撃が走った。

ただそのいっぽうで、たばこは増税等々といった事あるタイミングで値段を上げられることもあり、そのビジネスモデルは安泰といった声も。

現に一度は大きく下げた株価も、気が付けば「減配ショック」以前の水準に戻っており、さらに430日に発表された202112月期第1四半期決算も、純利益が前年同期比31.7%増の1,1378,600万円と見栄えの良いものに。国内事業の不振を海外事業の好調で挽回したのも、好決算の理由となったようだ。

とはいえ、今後国内外ともにたばこの需要が減り続けることが必至なのは変わらないところ。たばこに依存しない新事業の開拓が急務だとされるJTだが、今回のアメリカにおける「メンソールたばこ禁止方針」報道で、さらなるスピード感が求められることになりそうだ。


参考資料

新型タバコの拡販を抑え込む方策について(福島学術総会:シンポジウム「今こそ新型タバコを考える」)
https://notobacco.jp/pslaw/newtobacco201114nogami.pdf

タバコに含まれる添加物のうち特にメンソールや果実風味等はニコチン依存性を強めるので禁止とすべき
http://notobacco.jp/kisei/kiseikaikaku1310.htm#no7