千葉県、議会棟内に喫煙専用室設置 受動喫煙対策で県庁は喫煙所閉鎖も別棟はOK?



毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200625/k00/00m/040/042000c

 

 改正健康増進法が4月に全面施行されるなど受動喫煙対策の強化が進む中、千葉県は2019年度内に議会棟内3カ所に喫煙専用室を302万円で整備した。同法は行政機関の庁舎内を禁煙とするが、議会は別棟の場合などは対象外となる。日本禁煙学会などの調査によると、47都道府県議会のうち26議会が屋内禁煙で、うち8議会は屋外を含めた敷地内禁煙。県内でも全ての市議会が屋内外で禁煙とするなど受動喫煙対策が広がる中、県議会の対応に疑問の声も聞こえてくる。

 同法は学校、病院、行政機関の庁舎を特に配慮が必要な「第1種」とし、飲食店、事業所、議会など多数が利用する施設は「第2種」と区分けする。第1種は屋内禁煙で、条件付きで屋外に喫煙場所を設けられる。第2種では喫煙専用室の設置を認めている。

 同じく4月に施行された千葉市受動喫煙防止条例は同法より厳しく、「行政機関の庁舎の屋外に喫煙場所を設置しないよう努めなければならない」と定める。これを受けて県は、県職員や来庁者が利用する屋外喫煙所を3月までに閉鎖した。

 一方で議会棟については、県議会の各会派の代表者会議で喫煙専用室を整備することを申し合わせ、県が2月までに整備した。議会棟は隣接する県庁と連絡通路でつながるが、別棟になっている。議会棟6階にある既存の喫煙室2カ所を42万9000円で同法の基準に合うよう改修。3階の1カ所と屋外の1カ所は廃止したが、1階ロビーに傍聴者向けの喫煙専用室を259万6000円で新設。4月から利用されている

 日本禁煙学会などの調査によると、19年11月時点で県内の全37市議会のうち13市議会が敷地内禁煙とし、残る24市議会は屋内禁煙となっている。また、5月までのとりまとめでは、47都道府県議会のうち8議会が敷地内禁煙、18議会が屋内禁煙とされる。屋内に喫煙室があるのは半数以下の21議会だという。

 ある県議は「市町村議会の見本となるべき県議会が受動喫煙対策で遅れているのは問題がある。同じ千葉市中央区にある市議会が屋外も含め全面禁煙としているのに県議会の対応は納得を得られない。県民の健康を一番に考えるべきだ」と話している。

改正健康増進法

 学校や病院、行政機関などは敷地内禁煙、飲食店や職場などは屋内禁煙を原則とし、事業者に対策を義務付けた。飲食店は資本金5000万円以下で客席面積100平方メートル以下の小規模既存店は喫煙可で、それ以外の店でも煙の漏れない喫煙専用室内の喫煙は認める。加熱式たばこも規制対象。悪質な喫煙者には最大30万円の過料を科す。千葉市の条例は従業員のいる飲食店は面積にかかわらず原則禁煙とし、違反すれば過料を科す。