総務省東北管区行政評価局:国の庁舎周辺で喫煙 対策求める
2020年11月28日 10時09分 NHK https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20201128/6000012565.html 参考報道
去年7月から、国の行政庁舎の敷地内が禁煙となったことで、周辺の公園などで喫煙する職員が増えていると、苦情が寄せられていることから、総務省東北管区行政評価局は、国の機関に対し、職員の喫煙マナーの向上や禁煙に向けた研修会を実施するよう求めました。
東北管区行政評価局によりますと、改正健康増進法が施行され、去年7月から、行政庁舎の敷地内が禁煙となったことから、周辺の公園で喫煙する職員が増えていると、苦情が寄せられているということです。
このため、東北管区行政評価局は、苦情が寄せられた場所の近くにある、宮城、岩手、秋田3県の国の合同庁舎に入っている34の機関を対象に、職員に対する喫煙マナーなどに関する調査を行いました。
その結果、庁舎の外でも受動喫煙の被害を防ぐよう気をつけることなど、職員へ注意喚起や研修を行っているのは9つの機関だけでした。
さらに、職員の禁煙をサポートするため、医師によるカウンセリングを推奨しているところはひとつもなく、喫煙マナーや禁煙に対する関心の低さが浮き彫りになったということです。
東北管区行政評価局は、27日、調査の対象になった34の機関に結果を通知し、喫煙者の健康被害や受動喫煙リスクを減らすため、研修会や禁煙のためのサポートを実施するよう求めました。
官庁街の公園、たばこモクモク 苦情次々「板挟みだ」
2020年11月28日 11時43分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASNCW6RMLNCWUNHB00K.html
官庁街やオフィス街にある公園などで、時折見かけるたばこの煙。平日のお昼時ともなると、人出に合わせて紫煙はモクモクと一気に増え、付近からの苦情が絶えない。とは言え、「灰皿を撤去すれば解決」ともいかないようで、行政も頭を抱えている。
27日正午過ぎ。仙台市中心部の勾当台公園(青葉区)の東側には、100人近い人が思い思いにたばこを吸っていた。県庁や市役所、国の出先機関などが集中するエリアで、特に昼休みの時間帯に殺到する。
「職場に喫煙所がないんですよ」。たばこを吸っていた60代の公務員の男性は、肩身が狭そうに話した。「せめて一般の利用者に煙が行かないように気を付けている」のだという。「たばこ代の半分以上が税金。一部を使って分煙できる場所を作ってもらえれば。わがままかもしれないけど……」
公園に設置された灰皿を使う人もいるが、持参した携帯灰皿で吸い殻を始末する人も多く、ポイ捨てや歩きたばこをする姿は見当たらなかった。ただ、モクモクとした煙は風に流され、公園の外にまで漂う。
公園の反対側では、ベビーカーを押した30代の女性がベンチで休憩していた。「(喫煙者のいる周辺には)においがすごくて近づけない。子どもの健康に影響がないかが不安です」と話す。
公園を管理する仙台市青葉区によると、公園内には3カ所に灰皿が設置されている。吸い殻のポイ捨てや歩きたばこを防ぐためだが、利用者や付近を通る市民からは「煙が迷惑」といった苦情が多いという。
役所→公園へ流れる
「あそこまで多くの人が集まって喫煙するのは、新型コロナウイルスの感染防止の観点からも問題だ」と担当者は言う。ただ、公園での喫煙が条例などで禁止されているわけではない。
担当者は「他に喫煙所がないという声が確かにあり、たとえ公園内を禁煙にしても、別の場所に行くだけ。板挟みだ」と明かす。
公園そばにある総務省東北管区行政評価局によると、2019年7月1日以降は、国庁舎の敷地内で原則禁煙となった。公園脇の仙台合同庁舎と仙台第2合同庁舎には喫煙所がないのだという。担当者は「喫煙する職員たちは周辺の公園に流れているとみられる」と話す。
一方で、過去3年に職員の禁煙を支援する研修や講習会を開いたのは、宮城県内の16官署のうち6官署にとどまった、との調査結果も27日にまとめた。
「研修や講習会などで職員の喫煙率を下げていく」とはするものの、すぐに禁煙が達成できるとは限らない。担当者は「業務時間外のことまでは禁止にできないので、しばらくは、マナーを守るよう呼びかけていくしかない」と話している。
路上で「一服」トラブルも さまよう喫煙難民、マナー頼み 仙台中心部
灰皿スタンドの撤去後も多くの喫煙者が集まっていた=9月上旬、仙台市青葉区中央(写真の一部を加工しています)
街をさまよう「喫煙難民」−。4月の改正健康増進法全面施行で企業、飲食店も原則屋内禁煙になった。新型コロナウイルスの感染対策も喫煙所閉鎖に拍車を掛け、行き場を失った愛煙家の路上喫煙が各所でもめ事に発展している。仙台市中心部の事例を通じて考える。
JR仙台駅前の質店「うつぼ」は最近まで、道路を挟んで立つコンビニエンスストア前の路上喫煙者に悩まされてきた。ビジネスマン、学生らしき若者。ランチタイムや午後3時、同5時のピーク時には30人以上が紫煙をくゆらせた。
近隣のオフィスビルが屋内喫煙所を閉鎖した4月以降、そうした人の姿が一気に増えたという。元々はコンビニ前にある灰皿を求めての光景だったが、店側の強い要望で灰皿が撤去された8月以降も、長年の慣習からか、状況は全く変わらなかった。
店の前には灰や吸い殻が落ち、路面や側溝を汚す。入り込む副流煙で従業員が気分を悪くしたり、布製品に臭いがついたり、客から「店に入りづらい」と苦情を言われたり。時には注意すると逆上する喫煙者もいて、トラブルの原因になりかねなかったという。
店側は仙台市、宮城県にも相談したが、「マナーの問題」と取り上げてもらえなかった。コンビニが入居するビル所有者に陳情することで、11月から喫煙禁止を知らせる掲示物を張り出し、ようやく全面禁煙にこぎ着けた。
一方で、行き場を失った愛煙家は悲痛だ。職場の喫煙所がなくなったため1日に数回来ていたという50代男性は「どこへ行けばいいのか、惨めな感じ。寒くなる冬が心配だ。多様性を認めて」とため息をつく。
うつぼの佐藤竜児店長(40)は「解決してよかったが、喫煙者は他の場所に行くだけだろう。ただ排除するのではなく、街の中に一定間隔で喫煙所があれば人が分散するのではないか」と提案する。
◎厚労省は喫煙所の設置費助成
路上喫煙防止の取り組みはどうなっているのか。
日本たばこ産業(JT)東北支社は、仙台駅の東西2カ所で屋外喫煙所を運営。「増設を検討中だが、場所がないのが実情」と話す。約1年前まで市中心部のアーケード内に屋内喫煙所を設けていたが、賃料負担などを理由に撤退した。
担当者は「分煙推進で喫煙者、非喫煙者ともに住みやすい世の中にしたいが、自社だけでの実現は難しい」。東京都千代田区では自治体との連携で喫煙トレーラーを設置した例もある。
厚生労働省は、中小企業が受動喫煙対策で喫煙所を設置する工事費用の半額(上限100万円)を助成する。ただ宮城労働局によると、宮城県内の本年度の申請(10月末時点)は十数件にとどまる。
化粧品販売などを手掛けるヒラガ(青葉区)は、店頭の灰皿スタンドに喫煙者がひっきりなしに訪れる状況を受け、来春に店舗内の一部を喫煙所に改築する予定だ。
平賀ノブ社長(82)は「法改正しても急に喫煙者が減るわけではない。たばこ税を活用して公的な喫煙所の設置を検討してほしい」と行政に注文する。
仙台市の担当者は「喫煙者、禁煙者双方にとって望ましい姿を他都市の先進事例を検討して模索中」と説明。当面はマナー啓発、受動喫煙防止対策の周知を続けるという。
たばこの害に詳しい東北大環境・安全推進センターの黒沢一教授(産業医学)は「屋外でも受動喫煙は発生し、肺がんや心筋梗塞などのリスクは屋内同様にある」と語り、禁煙を勧める。