受動喫煙防止対策の大阪府内及び
日本における現状と今後の課題

 

野上浩志

 

はじめに

 健康増進法法律第百三号,以下「本法」という)2003

年5月1日に施行されて1年が経過しました。第25条で,

学校,事務所,百貨店など多数の者が利用する施設の管理

者に,受動喫煙防止の努力義務が課せられ,全国各所の機

関の建物内や敷地内禁煙が急速に進みつつあります。また

同年7月には人事院及び最高裁から「公務職場を可能な範

囲で全面禁煙の方向で改善に努めること」との通知が出さ

れました。

 その波及効果として火災予防条例の改正なども進めら

れました。この第25条の受動喫煙防止に関する通知が,

全国的にどのように周知されたかを調査して紹介すると

ともに,これらの動きを受けた受動喫煙防止対策の現状を,

新聞記事,ネット検索・照会,電話照会,実地調査などに

より調査した結果について報告し,今後の課題について述

べたいと思います。

 

方法は

本法の受動喫煙防止の通知の動き,及び受動喫煙防止対策

の現状を,新聞記事,ネット検索・照会,電話照会,実地

調査などにより調査しました。

 

結果について報告します。

1.健康増進法第25条の受動喫煙防止

健康増進法第25条(資料1)は、2002年8月2日に公

布され、2003年5月1日に施行されましたが、「多数の

者が利用する施設を管理する者は、これらを利用するもの

について,受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずる

ように努めなければならない。」とし,受動喫煙とは「室

内又はこれに準ずる環境において,他人のたばこの煙を吸

わされることをいう。」となっています。

この第25条を受けて、法律施行日の前日の4月30日付

けで、「受動喫煙防止対策について」という厚生労働省健

康局通知(資料2、都道府県知事他あて)が出され,この

通知文では、受動喫煙防止の対象機関として、本法に盛り

込まれた「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、

展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店」以外に,

本法に盛り込まれていない「鉄軌道駅、バスターミナル、

航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術

館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊

施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用す

る施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、

バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「そ

の他の施設」に含むものである。」とされています。

そして受動喫煙防止の具体的方法として,「全面禁煙は、

受動喫煙防止対策として極めて有効である」と明記し、一

方で「施設の態様や利用者のニーズに応じた適切な受動喫

煙防止対策を進める必要がある」とし,喫煙場所から非喫

煙場所にたばこの煙が流れ出ないよう「適切な分煙措置」

が必要であるとされています。

これら通知は,各省庁・都道府県などを通して,出先機

関,下部機関,関係業界団体など,全国各所に文書通知さ

れました。

本法の施行後、国家公務員職場を対象に、同年7月10

日には、人事院から,公務職場の喫煙対策として「職場に

おける喫煙対策に関する指針」(資料3,概要)が出され、

この指針では「可能な範囲で全面禁煙の方向で改善に努め

ることとする」とし、喫煙場所を設ける場合は「可能な範

囲で全面禁煙の方向で改善に努めることとし,可能な範囲

で庁舎外に喫煙所を設置する」こととされました。ただし

「分煙」対策も一方法として述べられています。

人事院からは,各省庁に通知として流されました。同月

31日には、最高裁判所から各裁判所に同趣旨の通知(

判所における喫煙対策に関する指針について)が出されま

した。

 

2.受動喫煙防止の通知・周知の流れ

本法第25条の通知の周知の流れについて、厚生労働省

健康局長より、各省庁に通知された協力依頼文を資料4

示しました。通知文は資料2を添付引用して、省庁内、出

先・下部機関,及び関係事業者に周知徹底を図るなど、所

管する施設等について、適切な受動喫煙防止が講じられる

よう協力を求める内容となっています。

この通知を受けた一例として、厚生労働省健康局生活衛

生課から、所管する全国生活衛生同業組合連合会(飲食店、

理美容、公衆浴場関係等)に受動喫煙防止対策の通知協力

依頼文を資料5に示しました。この中では国民生活金融公

庫の生活衛生資金貸付の融資対象として、受動喫煙防止施

設も追加された旨記載されています。

資料6には、国土交通省総合政策局長からは、鉄道、自

動車、航空,港湾海事関係局へ、関係事業者へ受動喫煙防

止の周知を図られたい旨の通知を示しました。鉄道、自動

車、航空,海事の各局は,この依頼を受けて、これら交通

関係事業者(鉄道,バス,タクシー,航空機,定期船,タ

ーミナル等の業界団体やJR他)に受動喫煙防止を図るよ

う通知が出されました。

資料7には、警察庁から、所管する都道府県警察本部等

に通知された文を示しました。この通知文を受け警察本部

等では、各警察署・交番等の公の場所の禁煙について周知

の文が流されました。

資料8には、文部科学省から、国公私立大学,都道府県

教育委員会及び私立学校主管課あてに、学校敷地内の「禁

煙原則原則に立脚した対策を確立すべき」との通知文が流

され、これを受けて都道府県教育委員会では各市町村に周

知徹底の文が流されています。

なお,これらの受動喫煙防止の周知文は省庁のうち,内

閣府,金融庁,環境省では通知文は流されず,防衛庁につ

いては特別国家公務員で対象外とのことで同じく流され

ていません。

 

3.健康増進法受動喫煙防止の関連法の改正

本法第25条の施行後、関連する法規の改正が行われま

した。

従来の火災予防条例では,劇場・ホール・映画館・百貨

店・公会堂などでは,火災予防の観点から,各フロアーに

喫煙所の義務づけがありましたが,本法の受動喫煙防止と

の整合性から,条例改正により義務づけがなくなり,禁煙

表示や周知対策を講じた場合は全面禁煙も可となり,受動

喫煙対策が進みやすくなりました(消防庁,火災予防条例

(例)の一部改正について(通知),消防予第319号,

消防安第237号,平成15年12月18日)。この条例改

正は全国の市町村で順次進められています。

また,興行場法施行条例では,映画館,劇場,寄席,音

楽堂,野球場などの構造設備の基準が定められていて,都

道府県によっては「喫煙所は各階に一箇所以上設けるこ

と。」との義務規定がありましたが,これについても、条

例改正により,「禁煙表示をする場合には喫煙所を設ける

ことを要しない。喫煙所を設ける場合は喫煙所であ

る旨を表示し,喫煙所以外の場所に煙が侵入しない

構造であること。」(東京都興行場の構造設備及び

衛生措置の基準等に関する条例第十条,平成16年3

31日)の例示のように改正が行われています。た

だし大阪府興行場法施行条例では「喫煙所を設けないこ

とができる」規定となっていて改正は要しませんでした。

 一方,たばこ事業法関連の小売販売業許可等取扱要領が

改正され(平成16年3月31日),劇場,百貨店,スーパー,

駅など,特定小売販売業で2003年5月1日以前にたばこ販

売許可のあった場合は,店舗内に喫煙所設置の義務づけが

ありましたが,喫煙設備を撤去しても,当分の間,販売取

り消しとはならないこととされました(ただし2003年5月

1日以降の新規申請は喫煙所の設置が必要)。


4.受動喫煙防止の現状

 受動喫煙防止の現状を表1にまとめて示しました。

(1)大阪府内市町村

 大阪府内の44市町村のうち,本庁舎,出先機関,議会,

学校・園の全面禁煙は17市町で38.6%でした(摂津市,大

阪狭山市,四条畷市,藤井寺市,堺市,八尾市,岸和田市,

富田林市,寝屋川市,河内長野市,高槻市,泉佐野市,熊

取町,島本町,能勢町,美原町,太子町,7月1日現在)。

例外は堺市議会に1箇所喫煙室が設けられていました。こ

れら市町の学校・園は概ね敷地内禁煙でした。

(2)大阪府警察署

警察署,交番は,公の場所(ロビーを含め)は禁煙でし

た。

(3)都道府県庁舎

 47都道府県庁のうち,庁舎の屋内禁煙は6県でした(長

野,群馬,埼玉,山口,佐賀,沖縄)。

(4)都道府県立学校と政令市立学校の禁煙

 14の県(青森,埼玉,千葉,神奈川,長野,福井,岐阜,

静岡,愛知,三重,和歌山,愛媛,佐賀,長崎県は禁煙で

した(概ね敷地内禁煙)。政令市については8市立学校が

敷地内禁煙で,4市が禁煙を予定しており,残念ながら大

阪市のみ未定でした。


(5)国の機関

 出先機関を含め,概ね庁舎内に隔離された喫煙室を設け,

執務室内は禁煙でした。裁判所も同様でしたが,最高裁判

所は屋内全面禁煙でした。


(6)金融機関

 銀行,信用金庫,労働金庫,農協,郵便局は,ロビー,

ATMコーナーは禁煙でした。


(7)百貨店のレストラン街

 阪急(梅田店)の8階レストラン街が全店禁煙,近鉄(阿

倍野店)の9〜10階レストラン街が一部例外を除き禁煙で

あった他は,必ずしも禁煙ではありませんでした(15時ま

では禁煙などがあった)。


(8)交通機関

 航空機は全席禁煙,定期船は客室内禁煙,高速道路S

A・PAは建物内禁煙,旅行代理店ロビーは禁煙でした。

鉄道については,地下鉄及び首都圏私鉄のコンコース・プ

ラットホームは禁煙でしたが,JR及び近畿圏の私鉄のプ

ラットホームには概ね喫煙コーナーが残っていました。


(9)病院

 大阪府内の病院550のうち,15年度の状況では,敷地内・

院内禁煙は120を越えていました(大阪府調査結果による)。



以上を考察し,コメントします

 
 
 2003年5月1日施行の本法第25条で受動喫煙防止の努
力義務が管理者に課せられるようになりましたが,それま
では日本には受動喫煙防止の法律はない状況でした。ホー
ルや映画館、百貨店売場、ドーム球場、新幹線や電車内の
禁煙は、消防法や鉄道営業法など、火災防止の観点からの
規定であり,健康とは関係のないこれらの法律のおかげで、
非喫煙者の健康は、長年少し守られてきたに過ぎなかった
のです。また職場の受動喫煙防止については,労働安全衛
生法第7章2(快適な職場環境の形成のための措置)の
71条の2(事業者の講ずる措置)「事業者は,事業場に
おける安全衛生の水準の向上を図るため,次の措置を継続
的かつ計画的に講ずることにより,快適な職場環境を形成
するように努めなければならない。」を受けて出された「事
業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関
する指針」(1992年7月1日労働省告示第59号)の中の
空気環境におけるタバコの煙や臭いについて,労働者が
不快と感ずることのないよう維持管理することとし,必要
に応じ作業場内における喫煙場所を指定する等の喫煙対
策を講ずること。」(指針第2の1の(1),通達第2の1
(1))との内容があったに過ぎなかったのです。しかし
この指針も労働基準局は積極的な活用はせず実効性は期
待できない状態でした。
 日本の受動喫煙対策は,1995年に厚生省事務次官通知
「喫煙対策の推進について」で「分煙の推進」が述べられ,
その後1996年には「公共の場所における分煙のあり方検
討会報告書」が出され,その中で,保健医療機関,教育機
関,官公庁等は「原則禁煙に立脚した対策」が求められ,
他の公共交通機関,金融機関,博物館,運動施設,飲食店,
宿泊施設,娯楽施設等は「分煙対策」が推奨されました。
また同年労働省より出された「職場における喫煙対策のた
めのガイドライン」,また1997年に人事院より出された
「公務職場における喫煙対策に関する指針検討会報告書」
も「分煙」が推奨でした。その後2000年には厚生労働省
より「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」
のたばこ対策でも「分煙」が打ち出されました。
 しかし前述の,保健医療機関,教育機関,官公庁等は「原
則禁煙に立脚した対策」は題目だけで全く進まない現状で
した。「分煙」も気密性や遮へい性のない喫煙コーナーで
はたばこ煙の拡散を止めることはできません。

 一般に,1本のたばこから約10mgの浮遊粉塵が発生する

が、1人が1時間に1本たばこを吸い、ビル衛生管理基準

(1立方m当たり0.15mg)とするためには、外気粉塵濃度

0.05mgとした場合(普通の外気はこれより低い)、たば

こ1本の必要換気量=10mg/1本÷(0.15−0.05)mg/1立

方m=100立方m/1本であり,在室者1人当たりの必要換

気量=1本/1時間・1人×100立方m/1本=100立方m/

1時間・1人となり、これは二酸化炭素濃度のビル衛生管

理基準(0.1%)をもとに決められた室内の必要外気取り

入れ量の30立方m/1時間・1人の数値より3倍以上の高

い数値です。複数の喫煙者がいる場合は、必要換気量は更

に多くなり,たばこ煙の浮遊粉塵を換気扇など外気だけで

希釈し除去するのは技術的に不可能です。

 分煙機器や空気清浄機は,高性能フィルターや電気集塵
装置、あるいは活性炭等のガス吸着除去フィルターが設置
されていて、たばこ煙の除去にはある程度の効果はあると
しても、たばこ煙に多く含まれる一酸化炭素等ガス成分の
多くはそれほど除去できず(最近の空気清浄機にはこの旨
表示されている)、アンモニアやアルデヒド等刺激性ガス
及びニコチンが含まれる浮遊粉塵の除去率は精々70〜
80%であって、たばこ煙に含まれる数百種類以上の種々の
有害物質を一様に除去するものではありません。
 以上のようにたばこ煙の性状からして,受動喫煙の健康
リスクから健康を守るためには,建物内は完全禁煙とし,
必要により建物外に隔離された喫煙スペースを設けるこ
とが望まれます。
 2003年5月1日の本法の施行を境に,全面禁煙が広が
っていて,受動喫煙対策の遅れていたわが国の状況は一変
しつつあります。本法を受けて,その通知が,省庁や都道
府県,業界団体等に周知され,また人事院及び最高裁判所
から所管の公務職場及び裁判所に受動喫煙防止が周知さ
れ,本法の施行1年後の状況は,大阪府内44市町村のう
17市町(39%)がほぼ全面禁煙で,大阪府内警察署・
交番も公の場所は禁煙,金融機関のロビー等も全て禁煙と,
急速に全面禁煙が広がっていることがうかがえました。た
だこれら大阪府内市町村の禁煙状況が全国的に見て進ん
でいるかどうかについては今後のより広域的な調査が必
要です。
 また都道府県レベルの禁煙については,6県の庁舎が屋
内禁煙で,徐々に広がっているように思われます。都道府
県立学校については,14県が概ね敷地内禁煙で,政令市
については今後の予定を含め,大阪市立学校・園以外の
12市が敷地内禁煙で,2002年4月に実施された和歌山県
内の公立学校の敷地内禁煙が模範として広がっているこ
とは,子ども達の健康を守ろうとする先生・職員行動が規
範となっていると高く評価されています。

 国の機関については,概ね庁舎内は完全分煙とされてい

ますが,近隣の庁舎を実地検分する限り,たばこ煙が漏れ

るケースもあり,人事院通知に述べられているように,全

面禁煙を早期に実現することが望まれます。

 一部の百貨店のレストラン街が全面禁煙でしたが,一般

のレストラン,飲食店を含め,禁煙はごく一部にとどまっ

ており,理美容や公衆浴場なども灰皿を置いているケース

が大半で,厚生労働省の通知が業界団体を通して周知され

ていないか,あるいは無視されており改善が望まれます。

 本法は所管する出先機関がないために,前述の改善方法

として,これらレストラン,飲食店,理美容,公衆浴場な

どの指導監督権限を有する都道府県や市の保健所に,本法

の指導監督権限を付与する法的な整備と改善指導の態勢

づくりが有効と思われます。

 歩道や公道における歩きたばこ(自転車やバイク喫煙を

含む)の受動喫煙被害の危険性については,東京都千代田

区の例のように,歩きたばこを禁止する環境条例を作って

いる市区がありますが,人的及びコスト的に負担が大きい

ので,その改善策として,本法の該当対象に公道を加える

か,あるいは通知で周知し,公道を管理する自治体や施設

管理者に受動喫煙防止の義務を課すことにより,公道に禁

煙標識を掲示し,あるいは公道上に印刷したり,周知のキ

ャンペーンを行うことにより,遵守が広がるものと考えま

す。

 また家庭における喫煙は,子ども達にとって健康リスク

が大きく,本法の趣旨から,親には家庭において受動喫煙

防止の責務があります。保健所等が,市町村や医師会など

保健医療機関と協力して,家庭の受動喫煙防止の周知・啓

発を進めることが期待されます。

 また本法は受動喫煙防止の努力規定を定めていますが,

喫煙の健康リスクが高いことを勘案すれば,努力ではなく,

義務規定に変えることが必要と思います。本法は施行5年

後に見直しすることになっていますが,これらの点につい

て至急な見直しが必要と思います。

 本調査報告では,民間職場の禁煙状況については,対象

数が多いために調査検討しませんでした。本法は厚生労働

省健康局の所管であるのに対して,民間職場は同省労働基

準局が所管していて,本法を踏まえて策定したとされる

「職場における喫煙対策のための新ガイドライン」(2003

年5月)では,全面禁煙に触れず,「受動喫煙を確実に防

止する観点から,可能な限り,非喫煙場所にたばこの煙が

漏れない喫煙室の設置を推奨する」とし,「浮遊粉じんの

濃度を0.15mg/m3 以下及び一酸化炭素の濃度を10ppm 以

下とするように必要な措置を講ずる。」としています。こ

れらの基準数値は,本法の通知で敷延されている「分煙効

果判定基準」でも援用されていますが,これらの数値は,

本法制定前に使われていた「ビル衛生管理法」や「事務所

衛生管理規則」の基準値と同じであって,事務所内がたば

こ煙で汚染されていた内容を改善するものとなっている

とはいえません。労働者をたばこ煙の健康リスクから守る

ためには,現状を追認し職場の受動喫煙防止の妨げになっ

ているこの基準数値及び新ガイドライン及び分煙効果判

定基準を撤廃し,禁煙を義務づける必要があります。

 これら受動喫煙対策としての屋内全面禁煙(学校や病院

の場合は敷地内禁煙)は,喫煙者の喫煙する機会を減らし,

あるいは禁煙の動機づけになることが考えられ,喫煙者の

禁煙を促進により,結果的に喫煙者の健康リスクを減らす

ことも期待されます。

 折しも,国際的にも2003年5月に「たばこ規制枠組条約」

がWHOで全会一致で採択され,2004年3月には日本政府

はこれに署名し,その後国会の承認を経て,6月8日に批

准書を国連に提出して締結し,40カ国の批准を経て今年内

には発効する予定とされています。

 大気室内汚染物質や環境化学物質の中でも,最も健康リ

スクが高く,かつその対策効果の最も高いたばこ煙がわが

国でも,また国際的にも制圧する動きが加速されつつある

のは,健康づくりに極めて大きな意義を持っていると思い

ます。