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 フクロウさんの声を聞きつけて、すぐさま、森の動物たち全員が、炎の上がる場所へかけつけてきました。大きくて太い木の穴から、炎が上がっています。そして、黒い煙があたりに立ちこめています。

 その炎が上がっているところは、なんと、野ネズミくんの新しい家でした。そう、野ネズミくんがお菓子と思って集めた、あの白いものは、タバコの吸いがらだったのです。
 

 昼間、このあたりで、お父さんゾウが、タバコを何本もポイ捨てていたのです。運の悪いことに、野ネズミくんが持ち帰った、たくさんの吸いがらの中には、まだ完全に消えていないのがあったのです。このタバコに残っていた火が、ワラや草に燃えうつって、野ネズミくんの新しい家を、焼きつくしてしまったのです。でも幸いなことに、野ネズミくんは火事に気がついて、外に逃げ出していました。
 

 森のみんなの協力で、火は消え、みんなは野ネズミくんが無事だったことを喜び、誰もケガをしなかったことに、ホッと胸をなでおろしました。
 

 それから、みんなは、今日、引越ししてきたという野ネズミくんに、とりあえず「はじめまして」のあいさつを交わし、なぜ、このようなことになったのかをたずねました。話を聞くと、どうやら、お父さんゾウが投げ散らかした、タバコが原因ということがわかりました。もちろん、お父さんゾウも、ここにかけつけていましたので、今晩の火事が自分の、無責任な行いで起こったことを知り、ただただ、みんなにあやまるのでした。