(8)
 

「さぁ、もたもたしてないで、さっそく、この新しい家に、落ちつくことにしよう。」
 

 そう言って野ネズミくんは、せっせと、家の中にしきつめる、ワラや草を、集めはじめました。しばらくして、草の間から、白くて細長いものを見つけました。それが、あちこちに、たくさん落ちています。
 

 野ネズミくんは、この白いものを集めるのに夢中になってしまいました。というのも、それをお菓子と思いこんだからです。
 

「これはきっと、とーっても甘くて、おいしいお菓子なんだ。だって、ぼくのお父さんやおじいちゃんが、おいしそうに口の中に入れているのを、見たことあるんだ。今日、森で見かけたゾウのおじさんも、このお菓子を、あんなに、おいしそうに口にくわえていたもの。」
 

 そう言って、木の穴に入り、少しのワラと草をしいてから、今、拾い集めてきたばかりのその白いものを、ドッサリと運び込みました。
 

 そして、

「ああ、今日は、良いことが、いっぱいあったなー。明日の朝、このお菓子を食べるのが楽しみだなー。」
 

 そう考えながら、野ネズミくんは、スヤスヤと眠りました。