(7) 一度とり除いた頭の腫ようが、また広がってきた。
おっちゃんには副作用が大きいだけで、抗ガン剤も注射もきかない。おまけに若いから病気の進行も早い。
おっちゃんの身体は左半分の手足がマヒし、言葉にも障害がでてくるようになった。
初めは自由に病院の中を歩いていたのに、歩行器を使うようになり、次に車椅子になり、そしてとうとうベッドに寝たきりになって、おばあちゃんとお母さんが交替で付き添いすることになった。
何の力にもなれず、日に日に弱っていくおっちゃんの姿をみるのは、ぼくにはとてもつらかった。
……間 ……
一日中点滴をしているおっちゃんの身体は、もうぼくを抱きあげる力もないほど、細く細くなってしまった。
<ゆっくりとぬく>
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