2015年2月「国の行政に関する御意見・御提案の募集」へのタバコ対策関連の提案・要望 2015.2.26更新 | ||
【経緯】
国(総務省)は「国の行政に関する御意見・御提案の募集(平成27年2月6日から3月2日)」を実施しました。 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145208487&Mode=0 ○ 行政は、前例やしがらみにとらわれず、この国の未来を見据えて、各種のデータやニーズに基づいて、的確な政策を打ち出してきているか。 ○ 行政における各種改革(行政改革、規制改革、業務改革等)は進んできているか。これらを一層進めるためには、どのような工夫が考えられるか。等 |
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本会は、以下の5項目の提案・要望を提出しました。 要望主体者 一般社団法人/NPO法人 日本禁煙学会 〒162-0063 東京都新宿区市谷薬王寺町30-5-201 http://www.nosmoke55.jp/ 子どもに無煙環境を推進協議会 〒540-0004 大阪市中央区玉造1-21-1-702 http://notobacco.jp/muen/ |
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1 | 政府として、国民の健康を喫煙及び受動喫煙の危害から守る包括的・抜本的な行政改革へ舵を切るべきです。 | |
2 | 政府省庁の審議会・委員会等の委員は利益利害相反指針に照らし、利害を有しまた監督下に有る者は除外すべきことを徹底する行政改革が必要 | |
3 | 財務省・外郭機関等からのJT・タバコ会社・関係法人への天下り・再就職・子女の就職禁止・自粛をすべき。またその逆も同様に。 | |
4 | ビル衛生管理法、及び事務所衛生基準規則の浮遊粉塵基準の0.15mg/m^3を半世紀近く抜本改定しないのは行政の無為無策で許されない | |
5 | 政治資金規正法による政治献金等の収支報告の届出書を内容なども精査もしてチェックすべき | |
提案番号 | 要望・提案事項名 | 要望・提案の具体的内容と理由 |
1 | 財務省の財政制度等審議会たばこ事業等分科会の2002年の中間報告を廃止し、分科会を抜本的に見直し、政府として、国民の健康を喫煙及び受動喫煙の危害から守る包括的・抜本的な行政改革へ舵を切るべきです。 | ・財務省の2002年10月の財政制度等審議会たばこ事業等分科会「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」は、受動喫煙の健康危害について、3.基本的な考え方(1)のハで「たばこの煙・においを好まない者や乳幼児のように煙を避けることができない者等に配慮して、公共の場での分煙化を一層推進する必要がある。」とだけ述べるにとどまる実例が示すように、FCTC(タバコ規制枠組条約)を2004年6月に批准した日本政府の立場と相容れないだけでなく、WHO等の国際的な疫学知見(エビデンス)と相容れない。しかし11年前のこの中間報告が未だに財務省及びたばこ事業等分科会のタバコ施策の拠り所となっていて、この報告の廃止、及び機能不全となってタバコ施策に対処できないたばこ事業等分科会の見直しが喫緊です。 ・JTは「第2 回兵庫県「受動喫煙防止対策検討委員会」」(2010年7月14日)におけるJTの意見陳述等で 「受動喫煙と、肺がんや虚血性心疾患などの発生との関連性は、大部分の疫学研究において、統計的に有意な結果は示されておらず、科学的に説得力のある証明がなされていないものと私どもJT は考えております。」と述べるなど、WHOや国立がん研究センターの疫学知見(エビデンス)など、国際的に既に確定している受動喫煙の健康危害を未だに頑迷に否定して、これが日本の喫煙と受動喫煙の対策推進を著しく妨げているが、上記の中間報告がこの後ろ盾になっている。 (1)国立がんセンター調査(厚労省研究班)による2005年時点でのタバコが原因での死亡数推計は196,000人とのこと。これには受動喫煙による死亡が含まれてないようで、国立がんセンター2003年5月データでは約1万9000人に上ると推計されているので、合わせて21.5万人と推計され、また上記記事によれば、男性の30%近くがタバコ関連病で死亡している… これに対しJTは「受動喫煙の害はまだはっきりしていない」とコメントするなど、JTは日本政府が2004年に批准しているタバコ規制枠組条約(FCTC)におけるタバコと受動喫煙の害を否定することおびただしく、かつ目に余り、日本国民の健康増進と国益を損ねています。 (2)財務省はタバコ産業を管理監督する立場から、医学的エビデンスに基づいてJTを質し指導すべきであるのに、座視し放任し行政責任を果たしていない。既に過去の遺物となって国際的に全く通用しなくなっている「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」を財務省が改廃できない現状からして、省庁を越えて政府としてより高い立場から最終報告を早急に出すことに踏み込み、 国民の健康を喫煙及び受動喫煙の危害から守る包括的・抜本的な行政改革(「受動喫煙防止法」の制定等を含め)へ舵を切るべきです。 |
提案番号 | 要望・提案事項名 | 要望・提案の具体的内容と理由 |
2 | 政府省庁の審議会・委員会等の委員は利益利害相反指針に照らし、利害を有しまた監督下に有る者は除外すべきことを徹底する行政改革が必要です。 | これは行政における公平公正性と透明性から必須です。 ・例えば、財政制度等審議会たばこ事業等分科会には、タバコ産業関係者が委員あるいはオブザーバー・参考人として出席し、また学識関係者等であってもJTが出資援助している喫煙科学研究財団の役員・評議員・委員(経験者)や同財団からの研究費助成受領者等が名を連ねている。 ・また例えば、厚生労働省では、審議会や委員会また厚生労働科学研究費補助金の審査委員等に、JTが出資援助している喫煙科学研究財団の役員・評議員・委員(経験者)、及び同財団から長年に亘り研究費助成を受けたものが名を連ねている。これは文部科学省の科研費等の委員会でも同じような実態がある。 ・これらの委員等は、例えばタバコと健康に関する審議や審査等で、タバコやJT擁護の立場に立つなどの可能性を払拭できず、利益利害相反指針と基準に照らし過去に遡って調査し該当者は除外することが公平公正性と透明性から必須です。 ・上記は、政府及び他の省庁でも同様であって、利益利害相反指針と基準に照らし過去に遡って調査し該当者は除外することが必要です。 |
提案番号 | 要望・提案事項名 | 要望・提案の具体的内容と理由 |
3 | 財務省・外郭機関等からのJT・タバコ会社・関係法人への天下り・再就職・子女の就職禁止・自粛をすべき。またその逆も同様に。他の省庁においても、監督及び利益・利害相反関係にある企業や法人との関係も同様な規制の行政改革を徹底すべきです。 | ・財務省等の役職者・職員やその関連職にあった者が、JT及びその関連会社・団体(喫煙科学研究財団を含め)に天下り・再就職して、役員・社員になっている人が少なくないが、財務省は「たばこ事業法」及び「JT法」などによりJTなどタバコ会社を監督指導している立場から、癒着や利益利害相反を避けるためにも、天下り・再就職、及びその子女の就職を含め、禁止あるいは自粛とすべきで、その逆もしかりです。 ・財務省等からのJT・タバコ会社への天下り・再就職者、及びその逆についても、現名簿を先ず公表し、上記と同様とすべきです。 ・例として、2011年に枝野・元経済産業大臣(当時)は「東京電力を含む各電力会社への経済産業省職員の天下り・再就職は、少なくとも自分の在任中はないよう、強く求めたい(認めない)。また電力会社を担当する同省幹部の子が東電に就職している事例が複数あることについて、親子は独立した別人格だが、疑われないよう努力する必要はある」と指摘し、情実人事につながらない仕組みを確立するよう求めた、と報道されています。(東電にはこの年の8月末時点で中央省庁の元官僚51人が天下り・再就職している)(2011.10.4朝日新聞) |
提案番号 | 要望・提案事項名 | 要望・提案の具体的内容と理由 |
4 | ビル衛生管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)、及び事務所衛生基準規則の浮遊粉塵基準の0.15mg/m^3を半世紀近く抜本改定しないのは行政の無為無策で許されない。 | ・この法律及び規則の浮遊粉塵濃度基準の0.15mg/m^3は、元々室内でのタバコ煙対策が皆無であった1968年に大気汚染防止法の基準値(「1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ1時間値が0.20mg/m3以下であること」の環境基準)を参考に、1971〜72年に決定されたもので、既に国際的にも全く通用しない。「粒子径が10μm以下で0.15mg/m^3」を判定評価に援用することは科学的・医学的にも基本的に誤っており、本基準は撤廃し、抜本的に改定すべきです。 ・この浮遊粉塵濃度の0.15mg/m^3は、PM2.5(粒子の直径が2.5μm以下;粒子径が10μm以下の0.15mg/m^3はPM2.5としては約0.1mg/m^3)規制が主流となっている「世界保健機関(WHO)や米国の基準よりも4〜6倍緩く、WHOは大気や室内の浮遊粉塵についてPM2.5は0.025mg/m^3以下(1日平均値)の目安基準を求めている。 (WHOの発がん性を評価している専門組織の国際がん研究機関(IARC)は2013/10/17に、PM2.5を含む粒子状物質について、肺がんなどの発がん性の5段階のリスク評価で最も危険が高い「グループ1」に分類し、アスベスト、喫煙、コールタールなどと同等のリスクに当たると発表した。) ・上記を受けて、環境省は、大気汚染による「微小粒子状物質PM2.5に係る環境基準」として、2009年9月に「1年平均値が15μg/m^3(=0.015mg/m^3)以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m^3(=0.035mg/m^3)以下であること。」と告示した。 ・一般屋内の浮遊粉塵の大半はPM2.5のタバコ煙由来であるが、大気汚染と屋内由来で健康影響(毒性)が特段に違っているものではない。 PM2.5が70μg/m^3を越えたら外出を控えるように、と環境省が指針を公表し、現にこれを越えている注意喚起発令地域が報道されてる。完全分煙のファストフード店でも、タバコ煙の微粒子でこれを越える例はいくらでもあり、禁煙でない飲食店内のPM2.5は数百μg/m^3(基準の10〜30倍以上;0.15mg/m^3の値に比べても数倍以上)に達している。 ・この法律及び規則の基準値を、環境省の基準を参考に早急に改定すべきであり、環境省の基準値が決められて7年半も経つのに、ビル内や事務所内の基準0.15mg/m^3が全く見直されないのは、行政の無為無策で、ビルや事務所内の人たちの健康を損ない続けている。 |
提案番号 | 要望・提案事項名 | 要望・提案の具体的内容と理由 |
5 | 政治資金規正法による収支報告の政治献金等の届出書を内容なども精査もしてチェックすべきです。 | ・政治資金規正法により、国会議員・地方議会議員、政治団体等(タバコ販売・耕作関係を含め)は、総務省あるいは地方自治体選挙管理委員会に収支報告の届出が義務づけられ、ホームページに3年間公表され、開示請求も可能であるが、虚偽の報告や、見返り意図の露わな政治献金(献金と引きかえに特定業界・企業等の利権を守り、あるいは補助金を交付するがごとき)等もあって、マスコミ報道等で問題となるケースが後をたたない。(大臣の引責辞任もあったりで) ・しかし報道されている以外の他の大部分は、虚偽等があっても埋もれたままとなっているように思われる。総務省の選挙担当部局にお聞きすると、報告書は形式的チェックしかしていないとのことで、内容などの精査もして、不明確・不明朗な部分も含めチェックし、政策や施策を政治献金が左右するかのごとき疑念が持たれることのないようにすべきではないか。(国会立法の範囲との関連があるかとは思いますが) |
参考:国の規制改革・行政、国民の声等の意見募集へのタバコ規制対策の提案・要望 | ||
参考: 2015年2月 国の行政に関する御意見・御提案の募集へのタバコ対策関連の提案・要望 | ||
参考: 2013年10月 国の規制改革に関する提案・意見募集へのタバコ対策の提案・要望 | ||
参考: 2012年11月 「国民の声」〜国の規制・制度に関する意見募集へのタバコ対策の提案・要望 | ||
参考: 2011年10月 「国民の声」〜国の規制・制度の改革への提案・要望 | ||
参考: 2010年10月 「国民の声」〜おかしなルールの見直し(国の規制・制度の改革)への提案・要望 | ||
参考: 2010年2月 ハトミミ.com「国民の声」〜タバコに関する提案・要望・回答 | ||
参考: 2009年6月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2008年11月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2007年11月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2007年6月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2006年10月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2006年6月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2005年11月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
参考: 2005年6月 タバコに関する全国規制改革要望・回答 | ||
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